はじめに
僕がこれまでに作ったアイテムの中で、プレイヤーから好かれており、かつ自分でもよくできたと思うものはトランポリンである
既存の猫シミュレーターには、なぜか当然のようにトランポリンが存在していた
そこで、自分でもおもしろいトランポリンを作ってみようと思ったのである
目的としてのトランポリン
トランポリンはゲーム的には「上部に接触するとプレイヤーが高くジャンプする足場」である
こうしたアイテムはマリオやソニックなどのプラットフォーマーゲームでおなじみであるが、プラットフォーマーゲームにおけるトランポリンはあくまで移動のための手段である
一方、僕のゲームはプラットフォーマーゲームではないので、手段としてではなく目的としてのトランポリン、すなわちトランポリン自体でおもしろいものである必要がある
作成
(1)ジャンプ力
既存ゲームのトランポリンではあまり高く跳べないため、跳んでいるという感じがあまりしなかった
現実世界では体操選手でもなければトランポリンで高く跳ぶのは無理……というか猫ではトランポリンで跳ぶこと自体無理である
しかしゲームに必要なのはリアルさではなくおもしろさである
僕のトランポリンでは現実離れした高さにまで跳び上がれるようにした
(2)高さの異なる3回のジャンプを1セットとする
既存ゲームのトランポリンでは跳ぶ高さが毎回同じだった
これはすぐ飽きる
僕のゲームでは3回のジャンプを1セットとし、「小ジャンプ→中ジャンプ→大ジャンプ」の流れを作った
(3)効果音
小・中ジャンプでは「ボヨン」、大ジャンプでは「ボヨヨ〜ン」という効果音にすることで、アクションと効果音を一致させた
この音はトランポリンでのジャンプによく合っており、たいへん有効だった
(4)複数人でのトランポリン
オンラインゲームなのだから、複数人で同時に使えるトランポリンであるべきである
そのため、トランポリンのサイズをかなり大きくした
これもまた実に効果的だった
複数人でトランポリンを使用すると、自分と他プレイヤーとの間に「見る/見られる」関係が複雑な形で生じ、視覚的なおもしろさが生まれるのである
(A)自分と他人のジャンプタイミングが一致している場合→同じタイミングで上昇・下降しているのがおもしろい
(B)自分と他人のジャンプタイミングが少しズレている場合→自分と他人の上昇・下降タイミングがズレるため、ウェーブしているように見えておもしろい
(C)自分と他人のジャンプタイミングが大きくズレている場合→自分と他人がシーソーしているように見えておもしろい
イリンクス装置としてのトランポリン
カイヨワは、動物が行うイリンクス(眩暈)の遊びの例として、テナガザルが枝に重みをかけてたわませた後、跳ね返りを利用してジャンプすることを挙げている(『遊びと人間』講談社学術文庫版 64ページ)
これはまさに天然のトランポリンである
人間の祖先もまた、そのような天然トランポリンで遊び続けてきたのだろう
僕のゲームのトランポリンもイリンクスそのものであり、以下の各要素がプレイヤーの感覚を狂わせ、陶酔感を生み出す
「トランポリンの側から一方的に与えられる大きな上昇・下降」「小中大ジャンプの繰り返しのリズム」「現実ではありえない過剰な効果音」「一緒に跳ぶ他人との関係でもたらされる複雑な視覚効果」
おもしろいと思えるイリンクスをこのようにゲーム上に生み出すことができたということに大きな喜びを感じた